東北医科薬科大学副学長・医学部長
整形外科学教授
小澤 浩司
東北医科薬科大学整形外科学教室は、2016年4月東北医科薬科大学医学部設立とともに発足しました。1979年10月に琉球大学に医学部が設置され、整形外科学教室が1982年に発足しましたので、国内の整形外科学教室としては34年ぶりの新設です。
東北地方は元来人口あたりの医師数が全国平均に比して少ない地域であり、医師不足と医師偏在に直面していた地域でした。2004年に始まった臨床研修制度の影響で東北地方の大学に入局する医師が減少し、大学の医局人事に頼っていた地方の病院に勤務する医師が減少しました。そこに2011年3月の東日本大震災が発生しました。沿岸部の病院が被災し活動できなくなり、多くの医師が内陸部や別の地方に異動しました。被災地に住民は徐々に戻りましたが、一度無くなった医療基盤は容易に回復しません。震災からの復興や東北地方の医師不足対策として、復興庁・文部科学省・厚生労働省の3省庁の合意で、2013年12月に「東北地方に1カ所に限る」という条件で、医学部新設の動きが始まりました。最終的に東北薬科大学に決定しました。このような発足の経緯から、本医学部の目的は、東北地方の地域医療、災害医療を担う医師を育成することであると明確です。
東北医科薬科大学の前身である東北薬科大学は1939年に東北薬学専門学校として仙台に創立され、東北地方で薬学教育の長い歴史をもっています。1949年に東北薬科大学となり、2013年に仙台の東部にあった東北厚生年金病院を買収し付属病院として東北薬科大学病院を開設しました。そして、2016年に東北医科薬科大学病院と改名し、新しい大学と大学病院がスタートしました。
本教室は当初6名でスタートし、年を追うごとに医局員が増えています。少人数ですが、まずは整形外科学教室の基盤を作るところから始め、いずれは多くの東北地方の整形外科医療を担う人材を輩出したいと考えています。
東北医科薬科大学病院の基本理念は孔子の唱えた忠恕の精神(良心に忠実に患者の苦しみを思いやること)です。
整形外科学教室では下記の理念を掲げています。
臨床にあたっては、この精神で地域の病院、東北大学病院と連携し、地域医療の核になることを目指します。研究に関しては、基盤を整え小さなことでも真理を追究し発信できるような教室を目指します。
(2023年7月7日)